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080428(月) 旧神戸移住センター

旧神戸移住センターの改修工事着工を宣言する式典へ出席。CAP HOUSEが入っていた建物といえばわかってもらえるだろう。
1928年に建てられ、国立神戸移民収容所として、ブラジルへ移民する人々が研修を受けるために日本での最後の1週間を過ごした建物だ。石川達三の小説『蒼氓(そうぼう』にも登場する。旅立ちの日には、多くの日本人が、ここからメリケンパークまで荷物をもって坂を下り、ブラジルへの船に乗った。その後、1971年に閉鎖され、看護学校として使われ、さらに最近では、CAP HOUSEが芸術活動の活動拠点にしたり、在住ブラジル人等の自助組織の活動拠点としても使われてきた。
移民のための施設としては日本に残る唯一のものであり(横浜にあった同様の施設は建て替えられた)、関係者からの強い要望を受けて、神戸市が保存・改修して移民関係の資料を展示するとともに広く在住外国人の支援拠点とし、また芸術の交流の場にもすることが決まったという次第。僕はその改修計画を検討する委員会の委員をやってきた。
今年は、日本最初のブラジル移民からちょうど100年という節目でもあり、最近、東京や神戸でそれを記念した催しがいろいろと開かれており、新聞を賑わしている。今日も当時を知る関係者が多く集まり、そういう方のお話を聞き、展示された当時の写真を見ているうちに、この建物を通り過ぎて行った多くの人々の苦労に対しやっと想像力が及んだ気がした。
改修計画はできるだけ元の空間の気配を残すことを目標にしている。外装は現在の仕上げの下にあるもう少し黄色いオリジナルの色になるだろう。サッシュも元のスチールサッシュに近づくはず。内部の展示計画も、テーマパークみたいなものにはせず、ここで最後の1週間を過ごしたまさにその空間を展示してほしいとお願いしてある。
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by yoshiaki-hanada | 2008-04-29 01:38 | ●花田の日記
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