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110220 『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』、その後

神戸芸工大の卒展が終わり、ゼミの打ち上げをやり、その後入院中の親の様子見に実家に帰りもし、慌ただしい日々が続いた。

『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』は2月9日から書店に並んでいるので、ご覧いただいた方もあるだろう。
僕も三宮のジュンク堂に様子を見に行ったのだが、レンガみたいな奇妙なプロポーションのかたまりがあり、すぐにわかった。
さっそくいくつかの感想メールや葉書などもいただいている。
また今どきのことだから、ブログやツイッターでのコメントも見つけたりした。
コメントを書き込めるブログには御礼の言葉を残した。
ただ、僕はツイッターをやってないので、そこで触れていただいた方には反応できていない。
ここに書いたところで届かないだろうけど、心から御礼申し上げます。
書籍販売もされながら実に幅広く書評を書いておられる方、この本の編集の手伝いバイトをしてくれたらしい学生さん、地方で活躍した建築家を研究しておられる方、ヨーロッパで修行をして帰ってこられたばかりの若い建築家などいろいろだ。また、僕の研究室の卒業生もブログで取り上げてくれている。
とくに若い方の反応は嬉しい。
おそらく、イズム抜きに松村正恒という建築家の存在を素直に受け入れてもらえると予想していたのだが、まだ少ない反応とはいえそんな感触があり、嬉しい。
また、建築家・泉幸甫さんのブログには「松村正恒のことを書いてあるのだが、実は現代建築や建築家に対する全面的な批評となっている」とあり、過分のお言葉とはいえ、こちらもそんなふうに読んでいただくと嬉しいなあと考えていたことなので、とても嬉しい。

配本直後に購入し、おそらく世界で最初に通読したのが、僕の研究室の卒業生で東京のN洋堂に勤めるS君だ。休みの丸一日をかけて読み切ったらしい。2箇所の誤植を指摘してくれた(笑)。
その他にも、読み終わったという記述をネット上で見かけたが、いずれも「見かけはごついが読みやすい」という感じの感想で、そういうふうに書いたつもりだったので、最高に嬉しい。

九州大学の建築史家・土居義岳さんはブログで取り上げてくださり、思わずコメント欄に返事を書いたところ、2往復の楽しいやり取りに発展した。これこれです。ぜひご一読を。
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by yoshiaki-hanada | 2011-02-21 00:36 | ●花田の日記

110209(水) 『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』、完成

『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』、いよいよ本日発売です。

松村正恒に関する私の博士論文を、日本学術振興会の科学研究費補助金(研究成果公開促進費)の助成を受けて出版したものです。
松村の生い立ち、八幡浜市役所時代の設計活動の全容の把握と分析、松村家に残る手紙の解読などを詳細に行い、彼が示した「もうひとつのモダニズム建築」の姿を描きました。
ほとんどの方が初めてご覧になるであろう松村作品とその写真や図面も多く掲載し、A5版・650頁をこえる分厚い仕上がりとなりました。再生なった日土小学校もカラー写真で紹介しています。この10数年間やってきたことの総まとめという次第です。
評伝・作品集・建築論といった異なる側面を併せもつ、専門書としてはいささか珍しい読み物になったのではないかと自負しています。
装幀は間村俊一さんで、本の造り自体も楽しんでいただけると思います。
ご高覧いただければ幸いです。

編集部が作ったチラシ2枚と僕が撮った写真を貼ります。
なお、著者自らこうしたお知らせをすることはややはしたない感じもしますが、「研究成果公開促進」のために税金を使うからには、刊行後もその目的のために努力することは著者の義務だと考えた次第です。ひとりでも多くの方に松村さんのことを知ってほしいと思います。ご理解下さい。
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「八幡浜市立日土小学校と松村正恒展―木造モダニズムの可能性―」も開催されます。
●会期:3月18日(金)~6月3日(金)(土・日・祝休館)
●会場:GALLERY A4 ギャラリー エー クワッド 東京都江東区新砂1-1-1 竹中工務店
東京本店1F

もちろん私も展示企画に協力しており、2回行われる講演会とシンポジウムにも登場い
たします。
詳しくはGALLERY A4のホームページをご覧ください。


また、日土小学校の「春休み見学会」も開催されます。
保存再生工事完了後、八幡浜市教育委員会主催で長期の休みごとに行われているもの
です。まだご覧になっていない方はぜひお越し下さい。
●日時:3月27日(日)9時~16時

詳しくは八幡浜市のこのページをご覧下さい。
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by yoshiaki-hanada | 2011-02-09 11:49 | ●花田の日記

110129(土) 卒業制作の講評会

卒業制作の講評会が行われた。
力作が多く、講評会はそれなりに盛り上がったと思う。
下級生も多く聞きにきていて、いろいろと刺激を受けたに違いない。

僕らの学科の講評と優秀作品の選定システムは以下の通りだ。

(1)1月26日の13時から15時までの間に提出し、図面と模型の確認を受けた後、スタジオにつくられたひとりずつのブースをつかって展示する。
(2)翌日から2日間スタジオを閉鎖し、学科全教員が10段階で採点する。
(3)その結果を単純集計し、それに基づいて講評会当日の午前中の学科会議で講評対象作品を選定する。なお、集計結果の表には学生名も採点教員名も記さない。点数のみを見て、上位何人までを講評対象とするかを決めるのだ。不思議なことに例年同じくらいのところに谷間がある。今年も昨年も16人。
(4)それを2人ずつの8グループにわける。組み合わすと議論が盛り上がりそうな2作品を選び、グループごとに講評するのだ。さらにそれぞれのグループに、講評会で口火を切る係の教員2名を割り当てる。
(5)学生に講評対象者を発表し、該当者はスタジオから図面と模型を講評会場である講義室に移動させる。
(6)12時から講評会スタート。
(7)15時半を目標に(今年は16時くらいになった)講評を順次行う。忌憚のない意見が飛び交う。
(8)その後、再度学科会議を開き、賞の対象者をどうするか議論する。
(9)「賞」としては、上から学長賞(1作品)、環境デザイン賞(原則1作品)、奨励賞(数点)である。ただし僕らの学科では卒業論文も必修であり、これは既に評価が済んでいて、奨励賞以上の論文数点とその中の1番とが決まっている。そこで、卒業制作と卒業論文をあらためて比較し、両者の中から学長賞と環境デザイン賞を選出する。基本的には、学長賞が作品の1番なら環境デザイン賞は卒論の1番、あるいはその逆とする。
(10)結果を学生に発表し、そのままワインパーティー。

やはり(8)の部分が一番たいへんだ。
卒論は主査と副査2名が読み、さらに審査委員会を設けて上位何名かを委員全員で読む。それくらいやれば、教員によって評価が大きく分かれるというようなこともなく、順位はスムースに決まる。元々論文とはそういうものだ。
しかし卒制となると、学生の目指すところも教員の評価のポイントもさまざまだ。必然的にかなりの議論が飛び交うことになる。1年で1番しんどい会議と言ってもいい。どうしても議論だけで着地しなければ投票という方法もとる。これを学生に公開すると面白いかもしれないが、まだそこまではやってない。

で、ともかく今年はこういう結果になりました
講評会の様子はここ

講評対象に選ばれた16作品のうち、奨励賞以上は10作品だから、6作品の諸君はいささか残念だったろう。教員側では奨励賞以上のものを選び、それ以外の講評対象作品は学生からの自薦にしてもいいかなとふと思ったりもした。来年考えてみよう。

僕の評価軸は以下の通りだ。
・学生が設定した出発点からの飛距離の長さと、そのジャンプの高さ。つまり扱っている問題がこちらに考えさせることがらの量と質。
・単純な二項対立で解読できるような作品は(奨励賞より上には)評価しない。つまり、空間の明・暗、スケールの大・小といったものの対比による演出しかないような作品だ。いくら飛距離が長くても、そんなジャンプは低いからだ。初歩的な計算問題を早く解いているだけということだ。
・システムのようなものを言葉だけで示した作品も評価しない。そこから新たな空間を生み出せない限り、設計をしたことにはならないからだ。
・複雑な問題を複雑なまま「空間的に」解こうとした作品かどうか、それがすべてだ。

なお、全学の卒業制作展「カオス2011」にぜひお越し下さい。
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by yoshiaki-hanada | 2011-02-01 00:30 | ●花田の日記