<   2009年 09月 ( 3 )   > この月の画像一覧

090915(火) 日土小学校のことをあらためて考えた

大学はまだ夏休みだ。そう書くと忙しい皆さんからは反感を買いそうだが、昔は多くの大学が10月1日から後期開始だった。それが今は月曜日の授業日数不足のため、多くの大学が9月の最終週か、早いところは最後から2週目からスタートしている。神戸芸工大も25日から授業再開だ。

しかしもちろんあれやこれや大学の用事は動いている。先週は前期の成績発表と再試験(教師の方が気を使うのだけは勘弁してね)。今年からいろいろと手直しをする予定の後期の担当設計課題(3年生の最後の課題)の内容もあれこれ考えているがまだまとまらない。青木君とのオープンスタジオの対話篇も悩ましい。
学外の仕事としては、日土小学校関係での文書づくりをひとつ終え、学科の何人かの教員でつくっている本の原稿書きと打ち合わせをやり、某辞書のためのゲラの校正をなんとか消化した。現在は、日土小学校関係の別の文書をあと2日間でつくらないといけない。

今日は神戸芸工大に編入を希望する学生さんのお相手をし、そのあと某建築雑誌から日土小学校についてのインタビュー取材を受けた。
結果的に4時間ほど話したのだが、僕が初めて松村建築を見た1994年以降の流れを再整理することになり、ふーんそうだったんだなあと自分で納得することも多かった。日土でやっていることを他人に話す機会が意外に少なかったのかもと思った次第。時分で喋ったことをすぐ忘れるのでメモしておこうっと。

うまく機能した専門家チーム/ぶれなかった行政/自分の役割を心得た人間集団/日土小学校はゲームの「上がり」としての作品ではないがゆえにさらに別のルールを加え楽しいゲームを続けられたこと/そのことが逆照射する松村建築とモダニズム建築の特徴/新築・部分改修・復元という3つの相が併置されたことの建築計画的・意匠論的・歴史的面白さ/保存対象が小学校であったことの意味(良くも悪くも地域の関心を集めた)/占い師の言うことを信じてしまいそうな病人の前で医者は何をなすべきか/効く薬と効かない薬/再発の気配がないことの確認/保存というより要するに建築の設計をしたのだという実感/モノの決定根拠の確認作業の積み重ねとしての位置づけ(旧校舎では過去の事実との関係として、新築した新西校舎では旧校舎のデザインの継承と対比として)/説明可能な建築としての日土小学校/記憶を継承する媒体としての建築/日土小学校を卒業したお年寄りが見れば元気が出るのではないか=ボケ防止薬としての建築保存・・・


『建築ジャーナル』9月号で、日土小学校についての同誌のインタビューを受けた内容が記事になりました(地域の話題のコーナー「日土小学校保存・改修完成」)。
『近代建築』9月号「特集:学校建築―つくりあげてきたこと、これからめざすもの」に、「日土小学校の保存・改修プロジェクトが示すもの」を書きました。
ドコモモ・ジャパンの会報に日土小学校の完成記事を書きました。
[PR]
by yoshiaki-hanada | 2009-09-16 00:49 | ●花田の日記

090913(日) 高圧洗浄(クラブ)

快晴の日曜日。
この夏やろうと思っていたわが家「渦森台ハウス」の板塀の洗いを決行。
最初にやったのは2003年8月5日で、たしかその後もう一回やった。
最近はほったらかしにしていたら、すっかり灰色になっていた。

ちなみに、この古い日記に「塀をごしごしやっていると東京から電話。そんな呑気なことやってる場合じゃないよという感じでたいへんな宿題原稿が舞い込んだ。果たして僕にできるのだろうか。」と書いている電話は植田実さんからで、後に『植田実の編集現場』となった原稿の依頼だったなあと懐かしく思い出す(学生諸君、読んでね)。

さて、道路に出てホースで水をかけながらごしごしとブラシでこする。数年前と同じやり方。
すると、お向かいの家のご主人(もうリタイアされた年代)が出てきて、「それじゃあ大変だあ。コウアツセンジョウキならすぐやで」とおっしゃる。「コウアツセンジョウキ?あ、高圧洗浄機か」と思ったものの、機械より肉体労働を信じるタイプの私は半信半疑。
しかし、そのご主人は高圧洗浄機をもっており、その効果は保証するという。日頃から家をいじるのが大好きで、掃除もマメにしておられるのは十分承知している。側溝のコンクリートを洗った効果や、「お隣のあそこのコンクリートも洗ってあげたいくらいや」とまでおっしゃられ、僕の心は完全に揺らいだ。掃除好きの人の言うことに嘘はない。

すぐにコーナンにロドスタを走らせ、ちょうど安売りをしていたこれを買ってきた。こういうとき(どういうときだ?)の判断は我ながら早い。

解説書を読み、さっそく水道と電源を接続。お隣のご主人も顔を出す。

す、すごい!

ノズルから吹き出す高圧の薄い厚みの水がちょうど平べったい筆のようだ。
汚れた板をなぜるとその部分の汚れが吹き飛び、元の明るい板の色が現れる。
パソコンのお絵描きツールに「消しゴム」ってあるでしょ。あれです、まさにあの感じ。
一定の幅でさっと黒い部分が消えて行く。

こうなるともう止まらない。マシンガンを抱えたコマンドー。
まず全長約14mの板塀の裏表を完了。ズボンと靴はずぶぬれだ。
次いで、そうだコンクリートもやればいいんだというわけで、板塀に沿った駐車場の真っ黒になった屋根スラブを攻撃。
どんどん白くなっていく。1.7m×11mくらいの面積だがそんなに時間はかからない。

すごい水圧なので、板やコンクリートとの距離が難しく、ややムラもあるが仕方ない。
板の方は、洗うというより、鉋をかけている、あるいは工場のプレーナーで板の表面をきれいに削っている感覚に近い。実際、角がささくれ立ったりするほどだ。

ともかくそうやって半日、下半身ずぶぬれになって作業は終わり、板塀とコンクリート部分は竣工時のような色に戻った。庭のテラスと屋上のデッキもやるぞ。

というわけで、つくづく高圧洗浄機なる機械の威力を知った次第。
ヨーロッパの古い建物を「洗い」にかけ、排気ガスで汚れた黒い肌を白く戻した話は聞くが、まさにそれを実感した。

で、思ったのは、こうすりゃ元に戻るじゃないか、ということだ。
地域で「高圧洗浄クラブ」でもつくろうか。
ポンプを背負って近所を回り、電源と水道を借りてコンクリートや板を洗ってあげる。
近代建築の保存をやっている人はみんな1台買いましょう(笑)。


山口晃の『すゞしろ日記』(羽島書店)は面白いなあ。
d0131838_0163149.jpg

[PR]
by yoshiaki-hanada | 2009-09-14 23:50 | ●花田の日記

「建築とリノベーション-日土小学校の保存と改修工事の意味するもの-」

建築学会の建築文化週間の一環行事で、日土小学校を手がかりにした以下のシンポジウムを松山で開催します。青木君には前日に日土小学校を見てもらい、感想を聞きます。そしてさらに建築とリノベーションの関係について、話を展開しようというねらいです。青木君が日土小学校についてどんなこと言うか、楽しみ、でしょ?地元の方はもちろんですが、遠くの方も、四国建築見学ついでにいかがでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

講演会「建築とリノベーション-日土小学校の保存と改修工事の意味するもの-」

八幡浜市立日土小学校(1958年建築:松村正恒設計、DOCOMOMO20選に選定)は2009年6月に保存のための改修・改築工事がようやく完了しました。今回の工事は近代建築の保存と継承のあり方を問いかけたものであり、再生のための作業には行政・市民・建築関係者など多くの人々と組織が関わりました。日土小学校の改修・改築を総括しながら、建築物の保存・再生について、様々な視点から考えていきます。

テーマ:「建築とリノベーション-日土小学校の保存と改修工事の意味するもの-」
日 時:平成21年10月31日(土)13:30~16:30
場 所:愛媛大学メディアホール

プログラム:
基調講演 講師:鈴木博之(東京大学名誉教授)
        青木淳(青木淳建築計画事務所代表)
     進行:花田佳明(神戸芸術工科大学)
※日土小学校改修・改築工事の紹介:和田耕一・武智和臣(設計担当)

参加費:無料
定 員:150名(当日受付順)
主 催:日本建築学会四国支部
後 援:愛媛県建築士会、愛媛県建築士事務所協会、日本建築家協会四国支部
問合せ先:(社)日本建築学会四国支部愛媛支所 (担当:橘亮)
     TEL:089-912-2765 e-mail:aij_ehime@yahoo.co.jp
[PR]
by yoshiaki-hanada | 2009-09-12 21:05 | ●花田の日記