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090130 最近のあれこれと卒業制作関係のお知らせ

インフルエンザ前後のあれこれを書いておきます。

●1月16日(金):関西大学先端科学技術シンポジウムという大きな催しの中で、同大建築学科の先生方がニュータウンに関する分科会的な企画を立て、そこで神戸芸工大の前学長である土肥博至先生が講演されるというので、関大まで行ってきた。
土肥先生は、日本のニュータウン黎明期の状況を、前田勇、津端修一、富安秀雄という3人の先輩方の仕事やご自身との関係を語ることによって、わかりやすく簡潔に示された。例によって抜群の記憶力。原稿なしで、年号等の数字もすらすら出てくる話しぶりはさすがである。ここに文字化して掲載したいほどの内容であった。ほとんどメモできているのでしようかな・・。
僕自身は、土肥先生が神戸芸工大にいらした頃、科研や学内外の共同研究で、いくつかの古い団地見学や、上記の方々へのインタビュー調査でご一緒したから、そのまとめの綬業みたいで、実に勉強になった。
土肥先生は最後に、上記の3人の人々に共通することとして、ニュータウンの建設を通して新しい生活空間や生活様式をつくるということに全く疑問をもたなかったことを挙げられたので、その「新しい生活様式」というのは具体的にいうとどういうことか、核家族でお母さんはスカートをはき、朝、お父さんいってらっしゃいと子供達が手を振るようなイメージですか、と質問した。
何と素人くさい言い方と思われるかもしれないが、意外に語られていないことではないかと僕は以前から思っている。
土肥先生は、あーはいはい、質問の趣旨はよくわかりましたというふうに受けて下さり、僕としては実に嬉しくなるお答えをいただいた。
それは、以下のようなものだ。
「当時は、家父長制、学歴や男女による差別、神棚、仏壇など、<克服すべきもの>がいっぱいあった」。
「富安さんは、学生の頃、戸山ハイツ(都営団地、1949)を見て、同じように住戸が並ぶこういう風景こそ民主的だと思ったと言っておられた。今だと「画一的」と表現される風景が、(<克服すべきもの>がいっぱいあった)当時は「民主的」だと思えたのだ」。
「1966年に初めてヨーロッパに行き、タピオラ(フィンランドの団地)で朝の散歩をしていると、住戸の窓から赤いセーターを着た父親が子供たちと楽しそうに話している光景が見えて感激し、こういう暮らしを誰もが味わう権利をもっているんだと思った」。

いい話でしょ?

●で、この会場で感染したわけではないのでしょうが、翌日1月17日(土)から22日(木)までインフルエンザで世間から隔離された。2年生の住宅課題の最終講評会に出られなかったのがとても残念。お陰で、積んだままになっている本をだいぶ斜め読みできはしたが・・。

●23日(金):世間に復帰し、次年度用のゼミ面接など。

●24日(土)・25日(日):一般入試と編入試の監督や面接。

●28日(火)は、大学院の講義、入試関連の仕事、教授会、そしてこの日は何といっても卒業制作の提出日だった。
スタジオを新しくしてから初めての学内展示。厚手の段ボールパネルを大量に購入して設えた会場構成はうまくいった。
作品も、今年は例年以上の出来。どれも問題設定がそれなりにきちんとあり、空間的な解答が示されている。まずはかなりのボトムアップが実現した。その上で、力作・大作も多く、上位陣(というと学生諸君には失礼かもしれないが)の燃え尽き具合も上々である。これは採点する側が採点されかねないなとは、多くの教員の最初の感想。2月2日(月)午前中までスタジオを閉鎖して採点します。

その後、2月2日(火)12時から2月6日(金)までは一般開放しますので、学内の学生諸君はもちろんですが、学外の方も自由に御覧下さい。

全学の卒業制作の展覧会は、2月13日から15日まで、兵庫県立美術館で大々的におこないますが、そこでは、図面の一部は省略して展示する場合もあるので、とくに学内の下級生諸君は、学内展示を見ておくように。

また、卒業制作の講評会は2月3日(火)の13時から、学科棟の2階講義室でおこないます。
全作品は無理なので、当日の午前中に、教員が10数点の優秀作・問題作を選び、それらについて議論をおこないます。毎年なかなか盛り上がるので、学外の方もぜひどうぞ。学内の下級生諸君はもちろん参加するんですよ。


●29日(木):大学院の講義、学科会議等。

●30日(金):卒業制作の採点をした。
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by yoshiaki-hanada | 2009-01-30 19:32 | ●花田の日記

090122 インフルエンザ

今週はインフルエンザにつかまり、ダウンしてしまいました。
流行っているらしい「香港A型」。
数年前に初めてかかったとき、こんなしんどい目にあうのは2度と嫌だと思い、それ以来、家族全員が予防接種を打つようにしたら誰もかからず、今年も自信満々でいたら、僕だけがあえなく撃沈されてしまいました。
タミフルを初めて飲みましたが、とくに異常行動も出ず(笑)、これが結構効いた感じがします。予防接種を打っていたことも役に立ったのかもしれません。少なくとも、その数年前のしんどかったときよりは、ややマシでした。
しかし高い熱と身体の痛みはこたえます。皆さんもくれぐれもお気をつけ下さい。

医者から言われた期間が過ぎたので、明日、金曜日から大学復帰します。

卒制、修士制作とも締め切り直前ですが、なにかあればどうぞ。

3年生のゼミ面接希望者の人、最終日だけになって申し訳ありませんでしたが、すでに掲示してもらったように、明日11時から14時までのあいだに来て下さい。
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by yoshiaki-hanada | 2009-01-23 00:06 | ●花田の日記

090111 今日も寒い神戸

正月休みに、高校生の息子から教えてもらい、幻冬社から文庫化されていたジョージ秋山・『銭ゲバ 上』『銭ゲバ 下』を読んだ。テレビドラマ化されるらしいので、それに合わせて本屋に平積みされたらしい。
もちろん「銭ゲバ」という漫画のタイトルは知っていたが、読んだのは初めてで、こんな強烈な内容だとは思わなかった。貧乏、DV、殺人、犯罪、成り上がり、金儲け、そんなことだけで人生とその破滅を組み立てた男の物語だ。これほど悲しい漫画もない。ぜひご一読を。
この漫画は、1970年に週刊少年サンデーで連載された。高度成長への、強烈でしかも非常に早い時期の批判ともいえる。内容はすごいが、絵自体の刺激度は(少なくとも今の目で見れば)たいしたことがない。絵の強烈なリアリティで勝負していないからだ。これをテレビドラマ化して果たしてうまくいくのだろうかと心配だが、テレビは来週からだ。
ところで、ジョージ 秋山といえば「浮浪雲」だが、小沢一郎とのコラボーレーション企画で「選・小沢一郎 あちきの浮浪(はぐれ)雲 傑作十選」という本が出ているのに気がついた。麻生太郎のアキバや「ゴルゴ13」への対抗企画だろうが、非常に面白いアイディアだと感心した。買いに行こうっと。


・・・・というわけで、さっそく三宮のジュンクで買ってきました。
いやあ、好企画。選ばれた10作品はなかなかの組み合わせで、名作「浮浪雲」だからどれを選んでも大丈夫なんだろうが、自由、貧困、教育、いじめ、父子関係等々、現代社会に通じる問題をテーマとした作品が実に上手く選んである。小沢一郎のインタビューや各作品に付けられた彼のコメントも悪くない。民主党はこういう路線での広報もおこなうとよいのではないだろうか。

これ以外に、鶴見俊輔『悼詞』(編集グループSURE)内田信平『建材・設備はどこで何から作られているのか』(エクスナレッジ)など。
『悼詞』は、鶴見がこれまでに書いてきた文章の中から、125人の人々への追悼文を集めたものだ。昨年秋に刊行されたのは知っていたが、「編集グループSURE」への申し込みをさぼっていたら、今日、ジュンク堂にあった。これまではなかったから、一般書店にもまわすようになったのだろう。追悼文ゆえに、単なる論評ではなく、必ず個人的なエピソードが披露されており、たいへんに面白そうだ。

岩波新書が創刊70周年ということで、アンコール復刊などの企画がおこなわれているが、『図書』臨時増刊号「私のすすめる岩波新書」というのが作られ、書店で配布されている。学生諸君、ぜひこれを手に入れて、岩波新書との出会いのきっかけとして下さい。なお、岩波のホームページに、そこで推薦されたもののリストがある。僕自身もそうだが、高校生から大学生にかけての時期に出会う岩波新書のうちの何冊かは、一生の支えとなる。
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                『図書』臨時増刊号「私のすすめる岩波新書」
                 表紙は宮崎駿の絵です。
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by yoshiaki-hanada | 2009-01-11 13:41 | ●花田の日記

090110 凍れる神戸

1月8日(木):大学の新年互礼会。教員と事務職員が一堂に会してわいわいと立食パーティー。芸工大ならではであろう。こちらは会場の片隅で事務局の人と次年度の入試の打ち合わせ。そのあとは新年最初の学科会議。学期末のスタートである。

今週はじめ、ある研究者の方から『国際建築』誌に関する質問が届いた。その前身である『建築時論』との通巻番号についてだ。『国際建築』は1928年1月号から、編集者・小山正和によってスタートした雑誌だが、その前身とされる『国際建築時論』から通巻番号が通してふられているように思われるが、どういう事情か、というような内容である。
『国際建築時論』は、1925年1月号から1927年5月号まで、早稲田のグループによって刊行された雑誌だが、たしかに1925年から27年までで3巻であり、『国際建築』の発刊最初の年・1928年の号には「第4巻」と書かれていて、それ以降の号を見ても、1925年を第1巻としてカウントとされていることが確認できる。
で、あらためて調べてみると、『国際建築』の最初の号である1928年1月号の編集後記で、小山正和が書いたと思われるが、冒頭に「本誌は第三年の五月号を出して暫く休刊して居りました。それは・・・」とあるのを発見した。もちろん「第三年の五月号」とは、第3巻目の1927年5月号である。
つまり『国際建築時論』と『国際建築』は、ひとつの雑誌と言ってもよいくらい連続的、一体的にとらえられていたようなのだ。その意識が、通巻番号を連続的に打たせたのだろう。小山正和も早稲田出身であるし、「国際建築」というタイトルの共通性からも、休刊していた雑誌の再出発という認識だったのではないだろうか。
ただしこの編集後記には、そのあと、「三ケ年の慣習に引きづられている貌ではいけない」とあるので、『国際建築』になって、誌面の一新は図られたわけだ。
そんなような回答を、当時の誌面の画像とともに、お送りした。
お陰で、こちらも勉強になった。
なお、『国際建築』については、卒業生の石坂美樹さん(現在『GA JAPAN』編集部)と一緒に、以下の2本の大会発表をおこなっているので、ご参照下さい。それぞれのページの右上のボタンをクリックするとPDFで読めます。

●建築雑誌『国際建築』の概要について : 建築雑誌『国際建築』研究(1)
●建築雑誌『国際建築』の特性についての分析 : 建築雑誌『国際建築』研究(2)

1月9日(金):大学で主任仕事の会議。これからの大学の姿についてなど。

1月10日(土):神戸はぐっと冷え込み、朝から少し雪。
夜は、芸工大の院生3人の写真展「Invisible」のオープニングへ。花田研の山下君も出展している。会場は新開地の神戸アートビレッジセンター。12日までです。ぜひ。
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by yoshiaki-hanada | 2009-01-11 01:05 | ●花田の日記

090107

今年の冬休みは生産的な活動はさっぱり。

元旦から4日までは実家(高知市)に帰りだらだらと過ごした。
そこにある老人の二人暮らしはいずれ自分も必ず遭遇するしんどい難題だ。
暇つぶしに自転車に乗って懐かしい道を街まで走ってみるが、僕が中・高校生の頃の方が賑やかだったような気がしてならない。
昭和の香りたっぷりなトタン板張りの古ぼけた木造アパートや木造住宅が、しらけた風景の中に埋没している。30数年前にはみんな新築で、そのあいだを僕は自転車に乗って学校へ通っていた。
金高堂という、僕も昔頻繁に通い、おそらく今は高知で一番大きな本屋へ行くのがわが家の息子たちの帰省時の楽しみのひとつ。しかも、高知新聞の連載マンガ「きんこん土佐日記」の単行本が出ていないかというのが重要なチェックポイントで、今回はその『きんこん土佐日記』第4巻が発売中。さっそく購入した。金高堂ランキングでも今週の1位だ。
村岡マサヒロという高知在住の人が描く土佐弁によるのどかな4コマ漫画だが、地元のひまわり乳業が牛乳パックに印刷したりして、いい感じの盛り上がりようなのである。

5日は、注文していた見田宗介の『まなざしの地獄』(河出書房新社)が届く。永山則夫を通して読み解いた現代社会論だ。僕はこの論文を教養課程の学生の頃参加していた勉強会で読んだ。見田の別の著書に収録されていたが、それを単行本化したもの。さらにこれも見田の昔の論文だが、「新しい望郷の歌」が併録され、大澤真幸のやや長めの解説がついている。学生諸君、ぜひ読んでみてほしい。
それと、見田(真木悠介のペンネームによる)の『人間解放の理論のために』もどこかの図書館で探してぜひ。言葉によって新しい世界が構成できるということを実感できるだろう。この本こそぜひ再刊してほしい。僕は言葉というものの力と美しさをこの本から学んだ。
そういえば年末の朝日新聞にも「まなざしの地獄」から秋葉原の事件までを結んだ見田の論考が載っていたなあ。

6日は博士論文のハードカバー版を三宮のキンコーズで受け取り東大へ送る。これですべて完了。

今日7日は大学へ。
いろんなことは明日8日から始まるのだが、事前準備。
まだ静かな大学だが、4年生の卒業制作チームは学科内のあちこちで作業中。
冬休みの小宿題、終わらず。
雑誌『国際建築』について卒業生に質問があり連絡をとる。
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by yoshiaki-hanada | 2009-01-08 02:18 | ●花田の日記

090105 明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。
                         花田佳明
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                       (花田朋彦画)
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by yoshiaki-hanada | 2009-01-05 11:29 | ●花田の日記