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080526(月) 海外情報

週末は必要最小限の外出でずっと論文書き。気がつくと新しい週が始まっている感じだ。昭和20年代から30年代に蔵田周忠から松村正恒に届いた100通ほどの葉書や手紙を、まずは古い順にならべ読んでいくと、連日立て続けに書かれたものもあり、ケータイもメールも無い時代の情報の行き来が実感できる。内田祥哉、川添登らの手紙も残っていて、松村正恒が「発見」された経緯がよくわかる。書けども書けども出口は見えず。中年男には体力的にきつい受験時代への逆戻りだ(苦笑)。疲れからだろうな、口内炎発生。右肘の関節も痛い。なさけない。

デルフト工科大学建築学科は古い校舎へ仮移転したようだ。
「Architecture has a house again」。Architectureがhouseを取り戻した。うまいこと言うなあ。

MITが授業の一部をウェブで公開しているが、その中の 建築学科 と、都市計画学科。対話的、ワークショップ的な授業が多いのが印象的。都市計画の方では、ショーンのリフレクティブプラクティショナー論の授業まである。
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by yoshiaki-hanada | 2008-05-27 01:12 | ●花田の日記

080521(水) 吉田戦車と『建築の解体』

昨日の講義で、言葉の意味とは何かを喋るネタに吉田戦車の『伝染るんです。』の中のいくつかの漫画を使ったのだが、学生たちが吉田戦車を知らないので驚いた。こんなことを書くと神戸芸工大環境・建築デザイン学科の恥さらしなのか、それとも世間の大学生もそんなものなのか。他大学の先生、ぜひコメントに書き込んで下さい。

というわけで、ちょっと前の重要な文化が継承されないことに危機感を覚え、ちょうど芸工大図書館の広報誌「ビブリオテイク」から500字ほどで本の紹介原稿を頼まれていたのを思い出し、磯崎さんの『建築の解体』を絶対に読めという以下の文章を書いた。商業誌じゃないから、発行前に載せてもいいだろう。少しでも早く学生諸君の読書計画に組み入れてほしいから。

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『建築の解体』(磯崎新、鹿島出版会)

 建築家・磯崎新が、1960年代の世界の建築デザインの最前線を、ハンス・ホライン、アーキグラム、チャールス・ムーアら7人の建築家の思考を分析し、かつ「《建築の解体》症候群」という論文で整理した書物である。1975年に美術出版社から刊行されたものの復刻版。近代建築に代わるデザイン手法を求め、1960年代に建築界で繰り広げられた議論の全貌を把握するには不可欠の書だ。
 私は、建築学科に進学前の大学2年生の夏休み、この本を読んだ。建築家や建築の名前はもとより、怒濤のごとく押し寄せる哲学、言語学、文学など他分野の言葉に潰されそうになりながら、知らない言葉に鉛筆で線を引きまくった。この本に載っているカタカナ語は全部覚えてやるぞと、受験生のような気分だったことを思い出す。おかげで、図面の1枚も描いたことがないくせに、「近代建築は終わった」と呟く頭でっかちになって建築学科に進学した。
 環境・建築デザイン学科の学生には必読の書。この本を開き、そこにでてくる知らない言葉をすべて辞書やネットで調べてほしい。その単純な作業を何週間でも何ヶ月でも続けることだ。最近の建築家が書くお手軽本など読む暇があったら、そういう暗いトンネルの掘削に挑んでほしい。もし出口の光が見えたら、次は磯崎の弟子・八束はじめの本に挑戦すること。
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by yoshiaki-hanada | 2008-05-22 00:34 | ●花田の日記

080518(日) デルフト工科大学建築学科が焼失!

5月13日、デルフト工科大学の建築学科の建物が火事で失われたようだ。
たまたまデルフト工科大学のホームページをのぞいていて知った。
ドコモモ発祥の地。以前オランダに行ったとき、ドコモモ事務局でもあるヘンケット教授室だった部屋に入れてもらったことがある。
他の分野も含め、建築界にとってはたいへんな損失だろう。
Fire at TU Delft で検索するとショッキングな動画や写真がいっぱい出てくる。

なお、学科のK先生はデルフト工科大で開かれる国際会議にちょうど出張中だったのでメールしたところ、「今朝帰国しました。会議の前日に建築学科が消失し、急遽場所をバケマの設計した会議場に移しました。メカノの図書館の隣です。現場も見てきました。スプリンクラーの故障で水がコーヒーメーカーにかかって漏電、火が広がったときにはスプリンクラーが作動しなかったとかー気をつけましょう。」という生々しい返事が返ってきた。

You Tube上のさまざまな画像

火事の様子の写真

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by yoshiaki-hanada | 2008-05-18 21:10 | ●花田の日記

080515(木) 師の影をどう乗り越えるか

4年生向けの演習科目の講評会。以前書いたように、いずれかの建築家の手法を「模倣」することによって新たに住宅をつくれという課題。履修者を集めて途中1回のエスキスをし、あとは放任状態だったので、どうなっていることやらと心配だったが、嬉しいことに、面白い案をいっぱい見せてもらえた。
「模倣」を考えるということは、自分がある建築家の事務所の所員であり、そこから独立した後、その師の影を受け継ぎつつどう自分らしさをつくっていくかというふうに言い換えられる、とは以前書いたことだが、今日の解答の中には、オランダのある設計グループをとりあげ、彼らが日本の普通の住宅地で住宅を設計するとどんなものをつくるだろうかという問題に置き換えた学生がいて、しかもそこで提出された案がとても面白く(機会があれば本当に作ってみたいくらい)、課題設定も含め、感心した。
その他、青木淳、西沢立衛、藤本壮介といった名前が並ぶのは今どきだが、結構それぞれの建築家がやるかもという雰囲気と、案としての面白さがあって、よくできていた。隈研吾は「負ける建築」で勝っている、という分析自体をプレゼした案は、論文につながるかも。吉村順三、宮脇壇はもっと徹底的に真似してみて、あれ、こんな作品知らないなあ、とこちらが思うくらいになるとよかったんだけど。
いずれにしても、ふだんの実習と違って履修者が少ないので、一人当たりの時間も長く、こちらも好きなことを言い、「建築という言葉」でお喋りする楽しさを学生諸君も味わえたのではないかな。
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by yoshiaki-hanada | 2008-05-16 22:12 | ●花田の日記

080514(水) かつて見たもの

午前中、学生時代の私にとってはヒーローのひとりであったある建築家の設計した住宅を見学する機会を得た。30年近く前に舐めるように雑誌で見ていた建物の本物の空間を実体験するというのは不思議なものだ。かつて見たものとの落差の測定。
いろんな意味で感慨深く、考えが十分にまとまらない。いずれまた。
午後は大学で学科のこまごまとした用事と教授会。日常的な仕事がきちんとできる人と組織であることが重要だ。
図書館経由で他大学に複写依頼をしていた資料が届く。「保育問題研究會月報」。昭和17年2月20日発行のパンフレットのような薄い冊子のコピーである。もとはガリ版刷りだろう。その新入會員名簿に小さく松村正恒さんの名前と住所と所属が載っているのだ。それを確認したかった。失踪した人間のあとを追っている気分。松村が見たもの、居た空間を描くことで、彼の輪郭は浮かんでくるが、でもおそらくそれだけでは不十分だ。その輪郭の内側を見るには解釈が要る。
やるべきことがいっぱいあって混乱気味。論文モードにまだ戻りきれない。くそ。
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by yoshiaki-hanada | 2008-05-15 01:09 | ●花田の日記

080513(火) 授業

午前中は講義、午後は2年生のデザイン実習の中間講評会。そのあと院生の修士制作の相談にのる。講義はうまくいった。内容は昨年までと同じだがやり方を今年は少しいじっている。昨夜思いついたアイディアが功を奏した。喋っていても喋りやすく、自分でも気持ちよかったのだが、午後の実習のとき、その講義をとっている女子学生から「めっちゃおもしろかったです」と言ってもらい、やっぱりそうだったかと納得した。こういうことなのですね、授業って。来年は絶対に活字にしたいぞ。中間講評会でも言いたいことを言う。帰ってからは愛媛新聞の原稿の再調整。深夜に送信。論文に戻れず。
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by yoshiaki-hanada | 2008-05-15 00:50 | ●花田の日記

080512(月) 原稿

1月から連載をしている愛媛新聞の「ふるさと伝言 道標」という欄の原稿を終日いじる。明日が締め切りで、18日の日曜日に掲載。愛媛県出身者5人が交替で書く。日曜日の1面。5週に1回順番がくる。約1200字。今回で僕は4回目。文章を書く速度は昔より速くなったとはいえ、資料を調べたりもしているとそれなりの時間がかかり、論文モードに戻りたいのに戻れない。今回は旧神戸移住センターの再整備のことにした。いずれPDFにしてこのページからリンクを張りたい。
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by yoshiaki-hanada | 2008-05-15 00:41 | ●花田の日記

ドコモモ・ジャパンの研究発表会

土・日と、京都で開かれたドコモモ・ジャパンのシンポジウム、総会、研究発表会へ行ってきた。土曜日のシンポジウム、総会、懇親会は岡崎の京都会館(設計:前川國男)、日曜日の研究発表会は京都国際会館(設計:大谷幸夫)。
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ポスターはここ

研究発表会のプログラムはここ

2日間とも充実していた。とくに日曜日の研究発表会は、ドコモモ・ジャパンの技術専門委員会(DOCOMOMO Japn NSC Technology )によるもので、テーマも絞られており、梗概集もたいへんに充実した編集で(厚みが1センチもある!)、勉強になった。いろいろな人に日土小の今の状況を話したり、書いている論文についてのアドバイスをもらったり、話もはずんだ。何しろテーマが絞られているし、そのテーマに一番関心を持つ人達が来ているので、楽しかった。
建築学会の大会もこんな雰囲気ならいいのになあ。全分野を集めた巨大な大会は見直してほしい。今日の論文発表も、プロの研究者・建築家、院生でも博士課程の人によるものばかりで、当然のことながら中身があった。建築学会の大会や支部での「卒論」レベルの発表はやめさせるべきだと改めて痛感。
京都国際会館は初めて行ったが、やはり凄い迫力。
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by yoshiaki-hanada | 2008-05-11 23:37 | ●花田の日記

環境デザインのトップランナー 第1回 安部良「建築はうたうたう」

今年も、神戸芸術工科大学環境・建築デザイン学科では、第一線で活躍する若手デザイナーを招いた連続講演会を開きます。
入場無料。どなたでも参加していただけます。ぜひお越し下さい。
(本企画は鹿島建設株式会社の助成を受けて開催されています。)

お問い合わせ:
環境・建築デザイン学科事務室
078-794-5031 

■神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科 トークセッション2008■
環境デザインのトップランナー 第1回
安部良「建築はうたうたう」
2008年5月20日(火)18:00−20:00
神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科 5201号室

安部良(あべ・りょう)

1966 年 広島県生まれ
1990 年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
1992 年 同大学院修士課程修了/石山修武研究室
1995 年 architects atelier ryo abe 主宰
2001 年〜東海大学理工学部建築学科非常勤講師
2005年 GOOD DESIGN受賞

著書:
『建築依存症/ARCHIHOLIC』(ラトルズ、2006)
作品:
『parajarita』(2006)、『calacola』(2004)『pecosa』(2003)
『井の頭御殿』(2002)、『うつくしま未来博水産展示館』(2001)
『うつくしま未来博国際交流ビレッジ』(2001)、『demagogo』(1999)
『solamente』(1997)他
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by yoshiaki-hanada | 2008-05-09 00:28 | ●花田の日記

080506(火) 連休が終わる

一日の半分以上の時間をパソコンの前に座り続けた連休が終わる。
それ以外にあったことといえば、日建時代の知人の訪問、岳父の誕生日にひっかけた御影での食事会、下の子供とプールに浸りに行ったことくらいだ。
今どきの論文の書き方というようなことかもしれないが、取り上げる作品ごとに集めた写真のスキャニングをどんどん進め、それらをフォルダー毎に整理し、予定しているそれぞれのページに貼るものは貼り、書けるところは書き、そんな作業を繰り返した。仕込み、といえばよいか。
それにしても、スキャナーで取り込んだ写真をパソコンの画面で拡大するのはとても面白い。けっこう発見がある。あ、ここに鉄筋ブレースが使われている、あ、ここは塗り分けられている、とかいった具合だ。
笑ってしまったのは、1950年に完成した川之内小学校の落成記念写真で、大人達が並ぶ隅っこに、いたずら坊主がこっそりしゃがんで写っているのを見つけたとき。下の写真。わかりますか。左下隅です。
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悩ましいのは、作品集の存在しない建築家だから、作品の図面や写真をどう入れるかということだ。それなしではおそらく理解してもらえない。別冊かな。
モダニズム、モダン、近代、近代建築、モダニズム建築、モダンアーキテクチャーといった言葉遣いにも困ってしまう。松村正恒が欧米のスタイルを「イズム」としてとらえ実践していたとは思えない。だとすれば「モダニズム建築」は変だろう。使いやすい建築の語彙を「自分のイズム」の実践のために使っていた、というべきか。彼の建築を表すときに「モダニズム」という言葉を使わなければいい?「近代建築」がよさそうだが明治〜大正期のものと紛らわしい。けっきょくモダンアーキテクチャーか?そういえば、以前参加した『再読/日本のモダンアーキテクチャー』はそれを採用したなあ。
地方→東京→満州→農村→帰郷という松村の動きは、まさに日本の「近代」であろう。しかし「モダニズム建築」の「モダニズム」とは異なる「近代」である。そのあたりもどうしたものか。

今日は5月らしい実に気持ちのよい一日。息抜きに、買ってあったシマトネリコの木を、わが家「渦森台ハウス」の庭に植えた。道路に平行にとった駐車場のコンクリートが夏になると蓄熱し、そこから家の中に熱気が持ち込まれる(ような気がする)。そこで、オリーブを1本植えただけの庭に(ものすごく大きくなった)、もう1本木を植えようと思った次第。論文完成祈願(祝いではなく!)の植樹だ。そのうち枯れたりして(笑)。

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by yoshiaki-hanada | 2008-05-06 17:07 | ●花田の日記