カテゴリ:●花田の日記( 294 )

110209(水) 『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』、完成

『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』、いよいよ本日発売です。

松村正恒に関する私の博士論文を、日本学術振興会の科学研究費補助金(研究成果公開促進費)の助成を受けて出版したものです。
松村の生い立ち、八幡浜市役所時代の設計活動の全容の把握と分析、松村家に残る手紙の解読などを詳細に行い、彼が示した「もうひとつのモダニズム建築」の姿を描きました。
ほとんどの方が初めてご覧になるであろう松村作品とその写真や図面も多く掲載し、A5版・650頁をこえる分厚い仕上がりとなりました。再生なった日土小学校もカラー写真で紹介しています。この10数年間やってきたことの総まとめという次第です。
評伝・作品集・建築論といった異なる側面を併せもつ、専門書としてはいささか珍しい読み物になったのではないかと自負しています。
装幀は間村俊一さんで、本の造り自体も楽しんでいただけると思います。
ご高覧いただければ幸いです。

編集部が作ったチラシ2枚と僕が撮った写真を貼ります。
なお、著者自らこうしたお知らせをすることはややはしたない感じもしますが、「研究成果公開促進」のために税金を使うからには、刊行後もその目的のために努力することは著者の義務だと考えた次第です。ひとりでも多くの方に松村さんのことを知ってほしいと思います。ご理解下さい。
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「八幡浜市立日土小学校と松村正恒展―木造モダニズムの可能性―」も開催されます。
●会期:3月18日(金)~6月3日(金)(土・日・祝休館)
●会場:GALLERY A4 ギャラリー エー クワッド 東京都江東区新砂1-1-1 竹中工務店
東京本店1F

もちろん私も展示企画に協力しており、2回行われる講演会とシンポジウムにも登場い
たします。
詳しくはGALLERY A4のホームページをご覧ください。


また、日土小学校の「春休み見学会」も開催されます。
保存再生工事完了後、八幡浜市教育委員会主催で長期の休みごとに行われているもの
です。まだご覧になっていない方はぜひお越し下さい。
●日時:3月27日(日)9時~16時

詳しくは八幡浜市のこのページをご覧下さい。
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by yoshiaki-hanada | 2011-02-09 11:49 | ●花田の日記

110129(土) 卒業制作の講評会

卒業制作の講評会が行われた。
力作が多く、講評会はそれなりに盛り上がったと思う。
下級生も多く聞きにきていて、いろいろと刺激を受けたに違いない。

僕らの学科の講評と優秀作品の選定システムは以下の通りだ。

(1)1月26日の13時から15時までの間に提出し、図面と模型の確認を受けた後、スタジオにつくられたひとりずつのブースをつかって展示する。
(2)翌日から2日間スタジオを閉鎖し、学科全教員が10段階で採点する。
(3)その結果を単純集計し、それに基づいて講評会当日の午前中の学科会議で講評対象作品を選定する。なお、集計結果の表には学生名も採点教員名も記さない。点数のみを見て、上位何人までを講評対象とするかを決めるのだ。不思議なことに例年同じくらいのところに谷間がある。今年も昨年も16人。
(4)それを2人ずつの8グループにわける。組み合わすと議論が盛り上がりそうな2作品を選び、グループごとに講評するのだ。さらにそれぞれのグループに、講評会で口火を切る係の教員2名を割り当てる。
(5)学生に講評対象者を発表し、該当者はスタジオから図面と模型を講評会場である講義室に移動させる。
(6)12時から講評会スタート。
(7)15時半を目標に(今年は16時くらいになった)講評を順次行う。忌憚のない意見が飛び交う。
(8)その後、再度学科会議を開き、賞の対象者をどうするか議論する。
(9)「賞」としては、上から学長賞(1作品)、環境デザイン賞(原則1作品)、奨励賞(数点)である。ただし僕らの学科では卒業論文も必修であり、これは既に評価が済んでいて、奨励賞以上の論文数点とその中の1番とが決まっている。そこで、卒業制作と卒業論文をあらためて比較し、両者の中から学長賞と環境デザイン賞を選出する。基本的には、学長賞が作品の1番なら環境デザイン賞は卒論の1番、あるいはその逆とする。
(10)結果を学生に発表し、そのままワインパーティー。

やはり(8)の部分が一番たいへんだ。
卒論は主査と副査2名が読み、さらに審査委員会を設けて上位何名かを委員全員で読む。それくらいやれば、教員によって評価が大きく分かれるというようなこともなく、順位はスムースに決まる。元々論文とはそういうものだ。
しかし卒制となると、学生の目指すところも教員の評価のポイントもさまざまだ。必然的にかなりの議論が飛び交うことになる。1年で1番しんどい会議と言ってもいい。どうしても議論だけで着地しなければ投票という方法もとる。これを学生に公開すると面白いかもしれないが、まだそこまではやってない。

で、ともかく今年はこういう結果になりました
講評会の様子はここ

講評対象に選ばれた16作品のうち、奨励賞以上は10作品だから、6作品の諸君はいささか残念だったろう。教員側では奨励賞以上のものを選び、それ以外の講評対象作品は学生からの自薦にしてもいいかなとふと思ったりもした。来年考えてみよう。

僕の評価軸は以下の通りだ。
・学生が設定した出発点からの飛距離の長さと、そのジャンプの高さ。つまり扱っている問題がこちらに考えさせることがらの量と質。
・単純な二項対立で解読できるような作品は(奨励賞より上には)評価しない。つまり、空間の明・暗、スケールの大・小といったものの対比による演出しかないような作品だ。いくら飛距離が長くても、そんなジャンプは低いからだ。初歩的な計算問題を早く解いているだけということだ。
・システムのようなものを言葉だけで示した作品も評価しない。そこから新たな空間を生み出せない限り、設計をしたことにはならないからだ。
・複雑な問題を複雑なまま「空間的に」解こうとした作品かどうか、それがすべてだ。

なお、全学の卒業制作展「カオス2011」にぜひお越し下さい。
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by yoshiaki-hanada | 2011-02-01 00:30 | ●花田の日記

110125(火)

先週末は高知の実家に帰っていた。
正月は家で過ごした両親がその後調子を崩し入院。さすがに何ともならなくなり、両病院間と実家の間を走り回る。高校の同級生が医者をやっていてひとりはそこでお世話になっている。ご近所のありがたいサポートに加え、シルバー人材派遣センターからのヘルパーさん2名で7日間必ず病院に行ってもらうという体制をつくり、状況が少し安定した。

往復の電車では『ガロア』(加藤文元、中公新書)。

松村正恒本
編集者の方と献本先等の打ち合わせ。
2月2日に見本ができ上がってくるそうだ。
書店への配本は9日(関西は10日?)予定。
どきどきしてきた。

大学は明日が卒業制作の提出日。
ラボ棟でやっている諸君のは様子がわかっているのだが、さてほかの人は大丈夫なのか?
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by yoshiaki-hanada | 2011-01-25 23:20 | ●花田の日記

110120(木)

今日は、僕の研究室の最初の院生であったIさんが来学。
社会に出て約10年、ひと区切りの報告であった。
日土小学校の模型づくりの際に院生で、一緒に八幡浜に行き実測をした。
修論は雑誌『国際建築』の研究。
いずれもその後の松村正恒研究と日土小学校保存再生につながったものだ。
だから僕にとっても非常に思い出深い人であり、御礼を言いたい人でもある。
卒業生にとっての10年と、送り出した側にとっての10年。
全然別の場所で流れた時間だけど、なんとなく重なって感じられるのが大学の教師という職業の役得ではないかなと思った次第。

3年生はポートフォリオ作成課題の講評会。
就職状況が厳しい中、あらためて仕事って何だろうと思いつつの講評であった。

ところで、先日のセンター入試の国語・現代文に鷲田清一の「身ぶりの消失」という文章が出題され、そこに青木君の「原っぱと遊園地」が引用されていたはお気づきの人も多いでしょう。
問題と解答

青木君なりの感想も聞きました。なお、彼が書いた文章についての問題で間違えたとか(笑)。
ちなみに僕は全問正解!
ただ、各問題の選択肢の文章が、鷲田さんの文章の理解の差を問うのではなく、選択肢の文章自体の微細な違いをどれだけ峻別できるかを試しているような感じがしてとても嫌だった。
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by yoshiaki-hanada | 2011-01-21 00:13 | ●花田の日記

110119(水)

松村正恒本
・装幀家によって帯の色が決定したと編集者Kさんから電話。見ますか、それともお楽しみにしますかと聞かれ、そりゃあ我慢できません。画像を送ってもらう。自分で言うのもなんだが、かっこいいと思います。

午前中は大学院の講義連続2コマ、午後は学科会議、卒計の締切1週間前でスタジオやラボでは4年生が奮闘している。松村本の作業が終わり、何だか夢から覚めたような気分である。
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by YOSHIAKI-HANADA | 2011-01-19 23:00 | ●花田の日記

110118(火)

松村正恒本
・夕方、入稿完了とのメールが届いた。嬉しい。いよいよ印刷の工程へ移る。
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by YOSHIAKI-HANADA | 2011-01-19 22:49 | ●花田の日記

110117(月)

松村正恒本
15日(土)、東京へ。
編集者Kさんと編集事務所にて、夕方から深夜というか早朝一歩手前というか、まで打ち合わせ。
最後に一式をプリントアウトし、そのコピーの束を受け取って各自で一斉にチェックすることになる。
レイアウト担当の方々の、インデザイン(レイアウトをするコンピュータソフトですね)と肉体が一体化したような仕事ぶりに圧倒される。
画面上に、僕らには見えない線が見えている。すごい光景を目撃した。

16日(日)、神戸に戻る。浜松から関ヶ原あたりまで雪。50分遅れで神戸到着。
新幹線の中で半分くらいを読む。細かいチェックの赤入れ。
家についてからもすぐに続きの作業。
けっこう早く通読できて、夜、編集者Kさんと電話。
当然のことながら編集サイドでは専門家の目での細かなチェックが行われている。
こちらからの指示の要領が悪く怒られる。すみません、じゃまをしてはいけないな。

本日、コンビニに行ってファックスでいろいろと最後のチェックを返す。
コンビニの多機能コピー機の性能の良さにびっくり。
編集者Kさんからも出張校正先から細かい最後の確認。
全幅の信頼を置く。
これでやっと終わり、かな。
少し気が抜けてくる。

ウェブ上に新刊予告情報で出ているのを発見。

2年生の即日設計課題をつくる。

ちょうど今日は阪神大震災の日だった。
いろいろと思い出す。
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by yoshiaki-hanada | 2011-01-17 23:30 | ●花田の日記

110114(金)

松村正恒本
・昨日、校正を全部返したので、少し気持ちに余裕が出る。
・編集者Kさんといろいろなやり取り。
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by yoshiaki-hanada | 2011-01-17 21:46 | ●花田の日記

110113

ゼミ面接があるので大学へ。
吉良課題に参加した学生もおり、様子を聞く。
入賞できずたいへんな悔しがりよう。
でも逆に言えばそれほど入れ込んだというわけで、たいそう充実したワークショップだったようだ。
外部からの新鮮な刺激の意味は実に大きいとあらためて実感。
吉良さん、ありがとうございました!
最終講評会の様子がさっそく学科サイトにアップされている

松村正恒本
・朝までやった校正を大学で再度あちこち見直して、夕方、628頁まであずかっていた分はすべて発送。再スキャンする写真等のアルバムも同封。
・編集者Kさんととあれこれ打ち合わせ。
・夜は家で電話とメールでやり取りしながら後付けや経歴の調整。12時前、「もう守衛さんがきます」というわけで退社された。お疲れさま。完成したら二人で温泉にでも行きますか。
・その後、本日送った分のコピーにさらに赤入れ。スキャンして送る。

博士論文では当然のことながら実証性が第一なので語り口も押さえ気味になっている。ただ、最後の結論やまとめのところはどうしても多少「評論」気味にはなっていた。でもそこもかなり押さえた書き方なので、論文段階ではあまり書き込んでない。ところが単行本化に際して読み返すと、そういう部分がどうしても気になり、評論的原稿などを書くときには原稿を渡す前にパソコン上で何度も何度も繰り返す語調や文体の調整を、今度は校正原稿の上でやっている。こうやって何度も読んでみて、そういう事態になっているのがよくわかった。なので、編集の方にはご迷惑をかけているというわけだ。すみません。
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by yoshiaki-hanada | 2011-01-14 11:19 | ●花田の日記

110112

松村正恒本
・終日校正。夕方、400頁くらいまでを宅急便で発送。
・編集者といろいろと打ち合わせ。
・解像度が低い画像の再スキャン。
・蔵田周忠からの巻き紙の手紙があるのだが、それも再度一眼レフのデジカメで自分で再撮影。何とか使えるとの返事。
・残りの校正を朝の6時までやり、あずかっている分は全部終わった。
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by yoshiaki-hanada | 2011-01-14 10:58 | ●花田の日記