080611(水) 松村正恒 蔵田周忠 大学選び 植田実の編集現場

週末は家にこもって論文。蔵田周忠から松村正恒に宛てた99通の手紙を分析した章、いちおう終了。蔵田と松村の関係が、一方からの資料による分析とはいえ、だいぶわかったような気がする。手紙の印象では、蔵田周忠というのは結構ユーモラスで、ややアバウトな人という印象。それに対して、松村は噛みつき型の義の人だから、松村から蔵田に対して批判的な便りが行くと、蔵田が動揺したり逆に小さな反撃を試みたりしている様子が読み取れる。あ、もちろん蔵田と松村は、師と弟子の関係です。
99通全部に言及したので、重箱の隅をつつくような記述になっている。「話が細かすぎる。大きな筋を見失わないように」と自分で自分に教師役を演じてみるが、学生役のもうひとりの自分が、「初めてまともに論じられる対象なんだ、事実の細かい記録のどこが悪い」と開き直っている。

7日の土曜日には、僕らの学科を訪れてくれた高校生のお相手をした。自分はどこの大学に行くべきかを、自分の目で見て確かめようという姿勢は素晴らしいと思う。この春一新したスタジオ(製図室)やプリントセンターなどを案内し、そこで楽しそうに作業する学生たちの様子を見てもらった。高校生には、いずれそこに身を置く自分を思い描いてもらえたのではないか。未来とはそういうものだ。それ以外の映像が浮かばないような何かがあれば、その映像の中にいる自分は必ず実現する。

10日は、2年生向けの講義「建築空間のデザイン」。建築の見方や論じ方をさまざまな方向から教えようというねらいの授業。毎年少しずついじっているが、今日は思いきってマニアックな話題と思い、雑誌『都市住宅』と編集者・植田実さんの話をした。実は前回、建築の勉強をする時の情報源の話をし、チェックすべき建築雑誌やウェブサイトや本やらをいっぱい紹介した。それで終わるつもりだったのだが、一歩踏み込んでみようと思った次第。『植田実の編集現場』を書いた責任感もちょっとあった。手持ちの『都市住宅』や植田さんの本も持ち込んだ。
たぶん、面白かった人とよくわからなかった人との差が、この授業の中で一番大きい回だったと思う。喋っていても、こういう話を伝えるのは難しいなあと感じつつだった。もちろん、基本的には誰も『都市住宅』も植田さんも知らない。そういう状況で、あの雑誌のすごさをどう伝えるか。実物を手に取った学生たちは、一様に驚いていたのは救い。何かは伝わったと信じよう。芸工大の図書館にはバックナンバーがあるので、みんな見てね。

今日、11日は、他大学の学生さんが、大学院を受けたいと言って研究室を訪れてくれた。これも嬉しいことだ。自分の進むべき道を、自分が身を置くべき場所とセットで考えている。建築や町づくりはもちろんだが、ファッションやグラフィックやマンガや映画や写真や、いろんなデザインの分野の専門家と学生のいる環境からは、その気になれば、2年間でものすごく多くの収穫をあげられるだろう。
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by yoshiaki-hanada | 2008-06-11 23:24 | ●花田の日記
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