110707 『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』への書評

僕の『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』について、倉方俊輔さんが書評を書いて下さった「10+1」のウェヴサイトの「いま読みたい書籍」という書評特集のひとつだ。

まず本の内容については、こちらの狙いを十分に掬い取って過分ともいえる評価をいただいており感激した。心からお礼申し上げます。

それと同時に(というかそれ以上にといってもよいが)嬉しかったのは、本の「形式」に関していただいた評価である。
つまり倉方さんは、「モノグラフの領分──『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』/『村野藤吾の建築 昭和・戦前』」というタイトルからもわかるように、「併せて1500ページ以上」ある2冊に対し、そのページ数の多さ(笑)と「モノグラフ」という「形式」上の2つの共通点を見出し、そのことの意義を論じて下さっているのだ。
これは僕自身が、まさにあの本(およびその原本である博士論文)を書きながら考えていたこととぴたりと重なる。
あの本の執筆作業は、日本には個々の建築家をじっくりと論じたモノグラフがどうしてこんなに少ないんだろうという疑問に始まり、そしてそういうものを実際に書いてみるとそれが実に楽しいということの発見で終わった。わかった事実とそれへの解釈を「延々と」書き続け、それらだけを手がかりにしてものを考える作業である。
というか、書いているうちに、一般に「研究論文」と呼ばれるものと評伝や伝記とのあいだを縫うようなものになるといいいなというイメージがわいてきたというのが正直なところだ。
あ、それと、松村さんには作品集がないので、図面や写真を出来るだけ多く、しかも大きく入れようとしたという意味では作品集との境界も意識した。
そういったことが可能になったのは、出発点が博士論文であったからこそとも考えている。
つまり、分量の制限なくものが書ける数少ない機会だからである。
字数制限を気にすることなく、第1章から順に「わかった事実とそれへの解釈を「延々と」書き続ける」とああなったのである。
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by yoshiaki-hanada | 2011-07-07 10:46 | ●花田の日記
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