110129(土) 卒業制作の講評会

卒業制作の講評会が行われた。
力作が多く、講評会はそれなりに盛り上がったと思う。
下級生も多く聞きにきていて、いろいろと刺激を受けたに違いない。

僕らの学科の講評と優秀作品の選定システムは以下の通りだ。

(1)1月26日の13時から15時までの間に提出し、図面と模型の確認を受けた後、スタジオにつくられたひとりずつのブースをつかって展示する。
(2)翌日から2日間スタジオを閉鎖し、学科全教員が10段階で採点する。
(3)その結果を単純集計し、それに基づいて講評会当日の午前中の学科会議で講評対象作品を選定する。なお、集計結果の表には学生名も採点教員名も記さない。点数のみを見て、上位何人までを講評対象とするかを決めるのだ。不思議なことに例年同じくらいのところに谷間がある。今年も昨年も16人。
(4)それを2人ずつの8グループにわける。組み合わすと議論が盛り上がりそうな2作品を選び、グループごとに講評するのだ。さらにそれぞれのグループに、講評会で口火を切る係の教員2名を割り当てる。
(5)学生に講評対象者を発表し、該当者はスタジオから図面と模型を講評会場である講義室に移動させる。
(6)12時から講評会スタート。
(7)15時半を目標に(今年は16時くらいになった)講評を順次行う。忌憚のない意見が飛び交う。
(8)その後、再度学科会議を開き、賞の対象者をどうするか議論する。
(9)「賞」としては、上から学長賞(1作品)、環境デザイン賞(原則1作品)、奨励賞(数点)である。ただし僕らの学科では卒業論文も必修であり、これは既に評価が済んでいて、奨励賞以上の論文数点とその中の1番とが決まっている。そこで、卒業制作と卒業論文をあらためて比較し、両者の中から学長賞と環境デザイン賞を選出する。基本的には、学長賞が作品の1番なら環境デザイン賞は卒論の1番、あるいはその逆とする。
(10)結果を学生に発表し、そのままワインパーティー。

やはり(8)の部分が一番たいへんだ。
卒論は主査と副査2名が読み、さらに審査委員会を設けて上位何名かを委員全員で読む。それくらいやれば、教員によって評価が大きく分かれるというようなこともなく、順位はスムースに決まる。元々論文とはそういうものだ。
しかし卒制となると、学生の目指すところも教員の評価のポイントもさまざまだ。必然的にかなりの議論が飛び交うことになる。1年で1番しんどい会議と言ってもいい。どうしても議論だけで着地しなければ投票という方法もとる。これを学生に公開すると面白いかもしれないが、まだそこまではやってない。

で、ともかく今年はこういう結果になりました
講評会の様子はここ

講評対象に選ばれた16作品のうち、奨励賞以上は10作品だから、6作品の諸君はいささか残念だったろう。教員側では奨励賞以上のものを選び、それ以外の講評対象作品は学生からの自薦にしてもいいかなとふと思ったりもした。来年考えてみよう。

僕の評価軸は以下の通りだ。
・学生が設定した出発点からの飛距離の長さと、そのジャンプの高さ。つまり扱っている問題がこちらに考えさせることがらの量と質。
・単純な二項対立で解読できるような作品は(奨励賞より上には)評価しない。つまり、空間の明・暗、スケールの大・小といったものの対比による演出しかないような作品だ。いくら飛距離が長くても、そんなジャンプは低いからだ。初歩的な計算問題を早く解いているだけということだ。
・システムのようなものを言葉だけで示した作品も評価しない。そこから新たな空間を生み出せない限り、設計をしたことにはならないからだ。
・複雑な問題を複雑なまま「空間的に」解こうとした作品かどうか、それがすべてだ。

なお、全学の卒業制作展「カオス2011」にぜひお越し下さい。
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by yoshiaki-hanada | 2011-02-01 00:30 | ●花田の日記
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